こんにちは！京都にある自費リハビリセンターを運営しています。
センター長の米田です。
今日はチェアスタンディングテスト（椅子からの立ち座り）についてお話します。
1.はじめに
チェアスタンディングテスト（Chair Stand Test）は、特に高齢者の下肢筋力や機能的な運動能力を評価するための重要な指標であり、ロコモティブシンドローム（ロコモ）の診断にも利用されています。ロコモは、移動機能の低下を示す症候群であり、日常生活における自立性に影響を与える可能性があります。
2. チェアスタンディングテストの目的
このテストは、被験者が30秒間に何回立ち上がることができるかを測定し、下肢の筋力やバランス能力を評価します。特に高齢者においては、筋力の低下が転倒リスクを高めるため、定期的な評価が重要です。
3. ロコモティブシンドロームとの関連性
ロコモは、移動機能の低下を示す指標として、チェアスタンディングテストの結果が重要な役割を果たします。
テストの結果が悪い場合、つまり立ち上がる回数が少ない、または時間がかかる場合は、ロコモのリスクが高まると考えられています。
具体的には、下肢筋力の低下がロコモの進行に寄与するため、テスト結果がロコモ度の判定に直接的な影響を与えます。
4. 評価基準と介入
ロコモ度は、チェアスタンディングテストの結果を基に評価され、ロコモ度1から3までの段階に分類されます。ロコモ度が高いほど、移動機能の低下が進行していることを示します。これに基づいて、リハビリテーションや運動プログラムの設計が行われ、個々のニーズに応じた介入が可能になります。
5. 研究の重要性
最近の研究では、チェアスタンディングテストがロコモの早期発見や予防に役立つことが示されています。定期的なテストを通じて、筋力の維持や改善を図ることが、ロコモの進行を防ぐために重要です。
このように、チェアスタンディングテストはロコモティブシンドロームの評価において重要な役割を果たしており、高齢者の健康管理において欠かせないツールとなっています。
6.基準値
・30秒椅子立ちテスト（30CST）
このテストでは、被験者が30秒間に何回立ち上がることができるかを測定します。以下は、年齢別の基準値です。
60-64歳: 男性平均 12.3回、女性平均 12.7回
65-69歳: 男性平均 11.3回、女性平均 11.6回
70-74歳: 男性平均 10.1回、女性平均 10.5回
75-79歳: 男性平均 9.0回、女性平均 9.5回
80歳以上: 男性平均 8.0回、女性平均 8.5回。
・ 5回立ち上がりテスト（5xSTS）
このテストでは、被験者が椅子から立ち上がり、再び座る動作を5回繰り返すのにかかる時間を測定します。基準値は以下の通りです。
男性: 平均時間 7.93秒から13.54秒
女性: 平均時間 8.94秒から14.60秒。
3. まとめ
チェアスタンディングテストはロコモティブシンドロームの評価において重要な役割を果たしており、高齢者の健康管理特に転倒リスクの予知において欠かせないツールとなっています。これらの基準値を参考にすることで、個々の運動能力を評価し、必要な介入を行うことが可能になります。リハビリテーションや運動プログラムの設計においても重要な指標であり、テストの結果を基にモチベーションの維持や健康への関心を高める事が重要です。
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