脊髄小脳変性症の分類

こんにちは。京都のエール神経リハビリセンター、センター長の米田です。

 

本日は「脊髄小脳変性症の分類」についてお話していきます。

 

 

脊髄小脳変性症とは、主に小脳や脊髄の神経細胞が障害されることで起こる神経の変性性疾患をさします。小脳や脊髄が障害を受けることから、歩行時のふらつき、手の震え、ろれつが回らないなどの症状が出現します。

 

かなり多くの分類がありますが、大きく分けると二つ。遺伝性か非遺伝性かに分類します。

だいたい遺伝性は40%、非遺伝性は60%と言われてます。

遺伝性では主に10~20代、非遺伝性では中年期以降の男性に多いとされています。

 

今回は非遺伝性のものを中心にお話します。

 

非遺伝性(孤発性)の分類

 

1,多系統萎縮症

これは大きく小脳系・黒質毛様体系・自律神経系の三つに分かれます。

 ・(小脳系)オリーブ橋小脳萎縮症:非遺伝性の中で一番多いです。小脳性運動失調(千鳥足や手足体幹の震え、呂律の回らなさ)

 

 ・(黒質毛様体系)線条体黒質変性症:パーキンソニズム(筋固縮、動作緩慢、振戦など)で発症しまう。病初期には、臨床的にパーキンソン病との区別が難しいです。パーキンソン病治療薬があまり効きません。

 

 ・(自律神経系)シャイ・ドレーガー症候群:起立性低血圧、排尿障害、インポテンツ、発汗障害などの自律神経症状と睡眠時無呼吸症候群などを生じる事があります。

 

2.小脳皮質性萎縮症

小脳性の運動失調が主で、そのほかは目立ちません。

 

以上が非遺伝性の分類になります。

臨床で見た中では小脳性の運動失調症状が出ている方が多かったです。

運動失調といってもイメージが付きにくいかと思います。

例えば、何か物を取ろうとすると腕が震えて目的地まで思うように腕が進まない(運動時振戦)。

目標物に対して腕をまっすぐ伸ばそうとしても他所にそれてしまい、最短ルートで向かってくれない(運動分解)。

目標物に手を伸ばしても、それより先の方まで進んでしまう(測定課題)

繰り返し速く行う運動に対して、上手く反復できずに時間が掛かってしまう(拮抗反復運動障害)。

などがあります。

それ以外にも酩酊歩行と言って、酔っぱらった時に足元がおぼつかなくなりふらふらして歩いている様な歩きになることもあります。

 

脊髄小脳変性症は進行性の病気です。

 

進行自体は緩やかと言われていますが、高齢特に70代を超えてくると症状以外の要素が要因となり、日常生活を蝕んでくるようになります。

特に怖いのは廃用症候群。また高年齢になるとサルコペニア等年齢を重ねるごとに可逆的に筋力低下を生じさせることが怖いです。

 

一度廃用してしまうと取り戻すことは病期的にもメンタル的にも、年齢的にも難しくなってきます。

症状にも段階があります。

3つのフェーズに分けると

①症状が出て歩きづらくなっている状態

②歩きづらくなって、補助具や車いす等移動手段の変更を余儀なくされた状態

③介護が必要になり寝たきりになった状態

などです。

①であれば症状に対してのアプローチもできますし、予防的観点から筋力増強訓練を行えば、進行を緩やかにできるかもしれません。

しかし、②以降は多くのマイナス因子が組み合わさるため、加速度的に進行する可能性がありません。

 

京都のエール神経リハビリセンターではそんな脊髄小脳変性症の方に対してもオーダーメイドで適格な運動プランの提案や訓練を提供しております。

また脊髄小脳変性症の方だけでなく、脳梗塞などの脳血管障害、パーキンソン病などの神経疾患、変形性膝関節症などの整形疾患に対してもリハビリを行っています。

 

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