こんにちは。
京都のエール神経リハビリセンター、センター長の米田です。
今回は「身体失認がある方のリハビリテーションのやり方」について語っていきます。
- まずはじめに
身体失認(Asomatognosia)は、自身の身体の一部を認識できない、または他人のものと誤認する高次脳機能障害の一種です。この障害は、主に脳卒中や外傷性脳損傷によって引き起こされ、特に右半球の損傷が原因となることが多いとされています。身体失認は患者の生活の質(QOL)に大きな影響を与えるため、適切なリハビリテーションが重要です。本記事では、身体失認に対するリハビリテーションの方法やその効果について、最新の文献を基に解説します。
2.身体失認の特徴とリハビリの重要性
身体失認は、以下のような症状を特徴とします:
- 自身の身体の一部を認識できない、または他人のものと誤認する。
- 麻痺側の手足を使用しない、または存在を否認する(病態失認を伴う場合もある)。
- 日常生活動作(ADL)において、着衣や食事などの基本的な動作が困難になる。
これらの症状は、患者の自立性を著しく低下させるため、リハビリを通じて身体意識を回復させることが重要です。
3.リハビリテーションの具体的な方法
身体失認に対するリハビリは、視覚、体性感覚、運動の統合を促進するアプローチが中心となります。以下に、文献で報告されている主な方法を紹介します。
【視覚的フィードバックの活用】
ビデオフィードバック:患者自身の動作をビデオで撮影し、それを視覚的に確認させることで、身体意識を高める方法です。例えば、着衣動作の際にビデオを使用し、正しい手順を視覚的に学習させることで、更衣の自立が促進された症例が報告されています。
鏡療法:鏡を用いて健側の動きを視覚的に麻痺側に投影することで、身体の一体感を回復させる方法です。
【体性感覚の刺激】
物品操作訓練:積み木や布などを用いて、身体の正しい位置関係を認識させる訓練が有効です。これにより、視覚と体性感覚の統合が促進されます。
触覚刺激:麻痺側の手足に触れることで、身体の存在感を再認識させる方法です。
【運動イメージと協調動作の訓練】
運動イメージ訓練:健側の動作をイメージさせることで、麻痺側の身体意識を高める方法です。
両手協調動作:両手を同時に使用する動作を訓練することで、麻痺側の認識を促進します。
【認知的アプローチ】
手順カードの使用:動作の手順をカードに記載し、視覚的・聴覚的に患者に提示することで、動作の正確性を向上させる方法です。
注意喚起訓練:半側空間無視を伴う場合、注意を麻痺側に向ける訓練が有効です。
4.リハビリの効果と実際
文献では、これらのリハビリ方法が身体失認の改善に有効であることが示されています。
ケース1:更衣動作の改善
左半側空間無視と身体失認を呈した脳卒中患者に対し、ビデオフィードバックと物品操作を組み合わせたリハビリを実施。結果として、更衣動作がスムーズになり、日常生活動作の自立度が向上しました。
ケース2:運動イメージ訓練の効果
運動イメージを活用した訓練により、麻痺側の身体意識が改善し、歩行や立ち上がり動作が向上した例が報告されています。
5.身体失認リハビリの課題と展望
身体失認のリハビリには一定の効果が期待できますが、以下の課題も指摘されています:
改善には時間がかかる場合が多く、継続的な介入が必要。
患者の認知機能やモチベーションがリハビリの効果に影響を与える。
今後は、ロボット技術や仮想現実(VR)を活用した新しいリハビリ方法の開発が期待されています。
6.自費リハビリの重要性
今の医療制度では期限などが決められており、それが過ぎてしまうとリハビリの機会の極端に減ってしまいます。少しずつ回復しかかっていた段階から頻度が減ってしまうと断続的になり、モチベーションの低下にもつながってきます。
エール神経リハビリセンターでは介護保険・医療保険外であることから、退院直後でも継続して、リハビリを行う事ができます。実際に鏡や動画を用いてのフィードバックなどを行い、感覚入力を積極的に行っている事例もあります。どんな介助量重い方でもスタッフが2人ついているので歩く練習が可能です。
京都のエール神経リハビリセンターでは、病気によって今後の生活が不安なあなたに寄り添います。オーダーメイドで適格な運動プランの提案や訓練を提供!
それ以外にもパーキンソン病などの神経疾患、変形性膝関節症などの整形疾患に対してもリハビリを行っています。
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