ふらついた時の対処法(後編)

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こんにちは!京都のエール神経リハビリセンター、センター長の米田です。

今回もバランスについて説明します。

前回は大きくバランスの三つの概念についてお話しました。

今回はもっと深掘りしてふらついた時の各関節の動きを見ていきたいと思います。

 

理学療法の世界ではふらついた時に関節がそれを対応しようとすることを“戦略”と言います。

 

足首だったら“足関節戦略”、お尻であれば“股関節戦略”です。

 

バランスを取る上で大事な機能はどこでしょうか。

これはリハビリ業界の中でも意見が分かれる所です。

一部は“足“から

一部は“体幹”から

 

僕の前勤めていた病院では体幹が一番重要であるという人が多かったです。

 

確かに体幹は立つ姿勢においても、寝返り・起き上がり・四つ這い・座位等すべての行動に置いて身体の“幹”と言われるほどに重要であり、根幹となります。

 

しかし、“立つ”という行動に対しては若干話が変わってくると思います。

人間は重力と戦っています。そして地面からの床反力が必ず働く構造になっています。

 

その床反力を一番先に受け取る場所はどこでしょうか?

そう、足の底です。

 

人間はバランスを取る上で頭を水平に保ち、前庭にある感知器がぶれないように戦略を立てますが、足の裏も同じです。

足の裏は一番床反力の情報が入りやすい部分ですので、その圧力が指先に集中しているのか踵に集中しているのかで身体の傾きを感知します。

もし、それがどこかに偏っていた場合、戻そうとする力が働きます。

つまり、一番速くバランスの“戦略”が働くのは足首なのです。

 

後ろに倒れそうになれば「つま先が上がる」

前に倒れそうになれば「ぐっとふみこむ」または「踵があがる」

 

以上のような感じです。

 

横方向でも体側方向の小指か親指が上がるような状況が出てきます。

 

足首の拘縮が起きている人であればどうでしょうか?

それだけでなく、脳卒中で装具を装着しているような方であれば、装具で足首が固定しているから上手く足関節戦略が使えないという場合が多いです。

足首が硬くなっても、前脛骨筋や下腿三頭筋などが弱化していても、足首でのバランスコントールが難しくなってきます。

 

じゃあ、どうするのか。

 

次に働くのが“股関節戦略”です。

 

これは後ろに倒れそうになった時にお腹を前に突き出す

前に倒れそうになったときはお尻を後ろに突き出す。

横方向に倒れそうなったときは同方向にお尻を突き出して耐えるなどがあります。

 

大殿筋や腸腰筋なども関与しますが、体幹の筋肉も重要になってきます。

これは関節よりも筋力の方が重要になってきます。

 

高齢者の多くは円背姿勢で常に重心が前にあり、足首の拘縮もあるため、足関節戦略が使えず、股関節戦略に頼る事が多いです。しかし、体幹部も弱い人がほとんどなので、手に頼る事が多いです。

 

その股関節戦略が使えなかった場合、どこを頼るか。

 

次は恐らくステップを踏むと思います。

 

地面に接地している部分の頂点同士を線で結んだ時、一つの面になりますが、その面の事を“支持規定面”と呼びます。その支持基底面から重心が大きく外れたとき、人間はステップを踏んで新たな支持基底面の確立に注力します。

 

それでも耐えきれないほどの速度と重心移動の範囲であれば人間は手を出して支持基底面を出そうとします。

 

これが一連のバランスの流れです。

番外編として“ケンケン”しながら戻そうとする“ホッピング”というのもあります。

 

どれも大事なのですが、一番反応しないといけないのは足関節戦略。これが使えなくなる要因が多岐に渡るため、予防や改善が必要になってきます。

 

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