こんにちは!京都のエール神経リハビリセンター・センター長の米田です。
今回も腰痛についての話しです。
今日は立って作業する時の注意点やポイントなどを話していきます。
昨日のコラムの要点として、座った時の注意点は“動け”でした。不良姿勢で不動状態にあると腰痛が発生しやすいので、適度に動く事をオススメしました。
しかし、今回の「立位」についてはちょっと話が変わってきます。
ずっと立ちっぱなしって事はよっぽどの理由がない限りはありませんよね?
大抵は何かしらの目的があって動き続けています。
つまりその時の“動き方”が重要になります。
どういう動き方が腰を痛めやすいのか。
それは、
__腰を使いすぎる事です。
どういう事かというと、
例えば下に物が落ちてしまった時、あなたならどう取りますか?
多くの人が上記画像のように腰を前に屈めてとるのではないでしょうか。
これが腰痛の原因になります。
腰を屈める動きは腰椎椎間板に対してめちゃくちゃ負担が掛かります。
腰椎圧迫骨折やヘルニアの手術等でコルセットを付けた経験がある方は分かると思いますが、深く曲げるのは医者やリハビリスタッフに辞めてと言われている人もいるのではないでしょうか?
また、そこから戻す時一番に使うのが背中の筋肉、脊柱起立!
これを普段から過剰に使うことによって筋肉の不良や血行不良などに繋がり痛みを生じる原因となってきます。
では、どのように取ればいいのでしょうか。
方法は3つあります。
①物を取る時に股関節や膝を中心に曲げること。
こうする事によって腰を曲げる角度を調整が可能であり、負担量も減ります。
②物を取るときにどこかに手を当てる。
手で支えることによって上半身の重みを分散できます。少し当てるだけでも腰椎椎間板にかかる負担量は3倍くらい減ると言われているので、これをやるのとやらないのでは大きく結果に差がでると考えます。
近くに支える場所がなくても膝などに手をつく等して対処しましょう。
③物を取るときに腹筋に力を入れる。
戻す時には腰椎の脊柱起立筋特が強く作用します。これは脊柱を伸展させる効果を発揮します。しかし、土台がしっかりしてるのと、していないとでは大きく差が出ます。
腹筋、特にインナーマッスルと言われる腹横筋や腸腰筋など、腰椎を曲げる方向にアシストする筋肉を働かせることによって脊柱起立筋による脊柱の伸展作用を促進してくれる効果があります。
イメージとしては鎖と棒です。同じ物体を持ち上げる時、チェーンなどの剛体がいっぱいくっついている物だと繋がっている鎖全てを持ち上げないと目的の物体が持ち上がらないですよね?
でも棒であれば先端を少し上げるだけでも、そこから繋がる全て付随して上がってくると思います。
筋肉の話しに置き換えると腹筋を使うこと事によって鎖を逆サイドから固定させ、仮想の棒を作り事で脊柱起立筋の引っ張る力と移動距離を少なくしてくれているのです。
話しが難しくなってきましたが、とりあえず意識してほしいのはこの3つ。
日常で応用すると、例えば介護現場。
誰か寝たきりになった家族を介護した経験がある人もいるでしょう。
夫婦の場合だと自分も高齢で身体的に介護するにはきついという方もいるでしょう。
ずっとやっていると腰を痛める可能性があります。
しかし、環境を変えた時と先程のやり方を意識するだけでも腰の痛みは軽減する可能性があります。
環境面で言うと、まずは腰の高さにベッドの高さを持って来る。そうすることによって腰を屈めなくていいですよね?
またもし高さが変えられないのであれば、姿勢を前かがみにする必要がありますが、その時に身体を前に倒すのではなく、股関節から曲げるなどして腰を前に屈める動作を少なくしてみるのもいいでしょう。
次に、頭上・または目線の高さから物を取る、作業をする場合はどうでしょう。
キッチンの上の高さから鍋や米櫃等思いものを出さないといけないとき自分が思ってるよりズシッと来て、腰がしんどかった経験はないですか?
荷物の重みが前に来るので、身体は倒れないように後ろに引っ張ろうとします。戻そうとするときに使うのが脊柱起立筋。
使い続けることによって痛みを併発しやすくなります。
じゃあどのように取ればいいのか。
正解は“足を一歩前に出す”です。
図のように足を前にことによって、荷物の重みで前にいきそうな勢いを出した前足によって踏ん張りが利き、腰の力で戻す量が半減します。
また、段差等がある場合は一段でいいので、乗せながらやることでより踏ん張りが利き、前に倒れにくくなり、腰部への負担量が軽減します。
下記画像のような感じです。
一つ一つの動作は地味かもしれませんが、立っての作業は長時間かつ毎日行う可能性があるので、集約するとかなりの時間が経過することになります。一つ気をだけで腰痛になるリスクが減るのであればやっておいて損はないでしょう。
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